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転職失敗記その24

さよなら、E社

「会社に、来なくていい」
そういわれた通り、私は、Uさんとの引き継ぎ以外、会社に行かなくて いいことになった。

急にできた時間。
こんなときに、次の就職先を探せばよい ものだろうけど、そういう気分にはなれなかった。
久しぶりに、求職サイトを覗いてみる。 あいかわらずZ市の求人は全然ない。

メールで、現在の状況をP社のYさんに報告した。
「私の紹介した会社で、○○さんがこのようなことになって、 もうしわけなく思います」 と、Yさんの返事。
申し訳ないなんてとんでもない、YさんはE社の実情を知るすべもない。それにその会社に入るか入らないかは私が決めたことだ。
判断が甘かった、私が悪いんだ。誰のせいでもない。

そして最後の日。
朝礼で、きっと挨拶するように言われるだろうな、 いままで辞めたTさんもBさんもそうだったから。 そう思って、 一応、ちょっとだけきちんとした恰好をしてきた。
朝礼が始まる。各自の今日の予定。そして、社長の言葉…
「△△の仕事が取れそうです。いま見積り出してます。これが とれると、ちょっとスケジュール的に厳しいかもしれませんが、 なんとか頑張ってください。以上」

あ、あれ。
それで朝礼は終った。

いつもどおりに仕事をする社員たち。
私は、荷物をかたづけ、掃除をした。 一年も使わなかったけど、世話になったパソコン達。
そして、インターネットサーバやNTサーバからアカウントを削除した。 私の作ったサーバ達。もう、私は関係ない。元気でね。
社員の人達一人一人に挨拶してまわった。
「僕も、もうすぐやめるからね!」と、明るく笑う人。
「ご結婚おめでとうございます」と祝ってくれる人。 本当はこの時点で結婚は確実ではなかった。
CGの先輩には、迷惑をかけっぱなしで、CGデザイナーとしてはろくに役にたたないまま辞めてしまうのが 残念で、とても申し訳なかった。

社長室に入る。
社長に最後の挨拶をした。
「社長、荷物が片付きましたので、これで、失礼させていただきます」
「はい、そうですか」
「短い間でしたが、お世話になりました」
「はい、どうもお世話になりました」
「失礼します」
「はい」

社長の言葉は感情がなく、棒読みのようだった。私たちはお互い冷ややかな視線を投げ掛けながら、最後の礼をした。

見慣れたビルを出て、駅へ向かう。
途中に、かつて勤めたT社がある。 よく通勤途中、元同僚達と路上であったものだ。
T社の先輩に、
「○○さん(私)、うちにいたときよりもイキイキして歩いてるね!
なんて言われて、嬉しかった。
でも、今日は絶対、T社の社員には顔をみられたくなかった。

『私、失敗しちゃったよ、転職に失敗しちゃったよ。
あんなに希望に燃えてたのに。
A校に通ったお金は、無駄だったのかな。
大企業を捨てた私は馬鹿だったのかな。
Z市で就職しようとしたのが間違いだったのかな。

情けないよ。本当に情けないよ!
笑っちゃうよ!!

誰にいうともなく、心の中で叫びながら、帰路についた。風はまだ冷たい。
明日から、私は、無職だ。

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