3. 動作範囲内の行末空白(設定不可、強制削除、改行キャンセル時の空白を削除設定可能する。

Written at 1997.09.30
Last Update at 1999.05.05


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「なー、知ってかよ?」 
 
 急に近づいてきたかと思うと、いきなりそう切り出してきた。 
 
 こいつは何かと言っては俺に、何処から仕入れてくるのか知らないが、 
 
 怪しくておいしいネタを洩らして、そのおこぼれを拾う奴だ。たまーに 
 
 は、本当においしいが、だいたいひどい目に遭っている。 
 
「なにを?」 
 
 暇なときはこれだ。忙しいと『知らねーよ』と突き放すように答える。 
 
 暗黙の了解だ。 
 
「おまえの幼なじみ、なんていったかな? えーっと、あれだ、その、 
 
 それ……」 
 
 こいつは人の名前なんか覚えない。だいたい、 
 
 
「誰それの連れの」 
 
 とか、 
 
「あいつの女(もしくは男)」 
 
 だったり、 
 
「この(その)女(男)」 
 
 
 と言うような調子だ。 
 
「真理子だろ。相川真理子」 
 
 結局、俺が言う。どーせ、覚えちゃいないはずだ。 
 
「そう、その真理子ちゃん。でさー、真理子ちゃんがさー……」 
 
「あたしがなに?」 
 
 俺の後から当の真理子が言う。当然だ。真理子の席は俺の後だ。 
 
「あれ、真理子ちゃんいたの?」 
 
 白々しく、言い返しやがった。 
 
「いるわよ、ずーっとね」 
 
 俺の机にしゃがみ込んでいるこいつを、ジト目で睨みつけながら言った。 
 
 はずだ。わざわざ見なくてもわかる。 
 
「ずーーっとだって。いやー、仲いいね」 
 
 このやろ。今度は俺をにやけ面で見ながら言いやがった。 
 
「ああ、仲いいぜ。俺と真理子はガキの頃からの幼なじみだぜ? 一緒 
 
 に風呂にも入ったし、一緒の布団で寝たりもしたしよ。なー?」 
 
 俺は言いながら、後の真理子に微笑みかける。とたんに拳だ。俺の鼻め 
 
 がけて飛んできた。これも見なくてもわかる。軽くヘッドスリップで交 
 
 わすが、 
 
 
 がし。 
 
 
 激しい痛みが身体を電光石火に貫き、鼻血を吹き出しながら、俺はアス 
 
 ファルトに……もとい床に沈んだ。 
 
「ばかなとこ言ってないでよ! あんた死ぬわよ!!」 
 
 俺を憤然と見下ろしながら、真理子が啖呵を切る。 
 
「ひじ……日本じゃ、禁止さ、れてん、じゃな、いの、か……」 
 
 みっと無くも溢れ出る鼻血を押さえながら、息も絶え絶えに俺が言う。 
 
死ね!!」 
 
 とどめの蹴りを腹に受けながら、いつの間にか奴の姿が消えているのを 
 
 俺は見た。 
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 上記テキストは全角32文字で改行し、『「』以外の行頭、全ての行末に空白を挿入しています。これで改行文字指定マクロを、実行させると、

 

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「なー、知ってかよ?」

 急に近づいてきたかと思うと、いきなりそう切り出してきた。

 こいつは何かと言っては俺に、何処から仕入れてくるのか知らないが、

 怪しくておいしいネタを洩らして、そのおこぼれを拾う奴だ。たまーには、本当においしいが、だいたいひどい目に遭っている。

「なにを?」

 暇なときはこれだ。忙しいと『知らねーよ』と突き放すように答える。

 暗黙の了解だ。

「おまえの幼なじみ、なんていったかな? えーっと、あれだ、その、

 それ……」

 こいつは人の名前なんか覚えない。だいたい、


「誰それの連れの」

 とか、

「あいつの女(もしくは男)」

 だったり、

「この(その)女(男)」


 と言うような調子だ。

「真理子だろ。相川真理子」

 結局、俺が言う。どーせ、覚えちゃいないはずだ。

「そう、その真理子ちゃん。でさー、真理子ちゃんがさー……」

「あたしがなに?」

 俺の後から当の真理子が言う。当然だ。真理子の席は俺の後だ。

「あれ、真理子ちゃんいたの?」

 白々しく、言い返しやがった。

「いるわよ、ずーっとね」

 俺の机にしゃがみ込んでいるこいつを、ジト目で睨みつけながら言った。

 はずだ。わざわざ見なくてもわかる。

「ずーーっとだって。いやー、仲いいね」

 このやろ。今度は俺をにやけ面で見ながら言いやがった。

「ああ、仲いいぜ。俺と真理子はガキの頃からの幼なじみだぜ? 一緒に風呂にも入ったし、一緒の布団で寝たりもしたしよ。なー?」

 俺は言いながら、後の真理子に微笑みかける。とたんに拳だ。俺の鼻めがけて飛んできた。これも見なくてもわかる。軽くヘッドスリップで交わすが、


 がし。


 激しい痛みが身体を電光石火に貫き、鼻血を吹き出しながら、俺はアスファルトに……もとい床に沈んだ。

「ばかなとこ言ってないでよ! あんた死ぬわよ!!」

 俺を憤然と見下ろしながら、真理子が啖呵を切る。

「ひじ……日本じゃ、禁止さ、れてん、じゃな、いの、か……」

 みっと無くも溢れ出る鼻血を押さえながら、息も絶え絶えに俺が言う。

死ね!!」

 とどめの蹴りを腹に受けながら、いつの間にか奴の姿が消えているのを俺は見た。 
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のように、空白を削除しながら、改行をキャンセル(削除)します。

 

 なお、範囲選択処理時の選択範囲最下行の行末空白は削除されません。これは仕様です。


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