国家行政組織法第17条の2第2項の「事務次官による監督」条項により、事務次官が大臣から省内の監督権限を奪い、国家公務員法第55条第2項の「任命権の委任」条項が大臣の省内での人事権を奪っている。
国家行政組織法第17条の2と、国家公務員法第55条第2項を改正して、事務次官が省庁の各部局を監督するのではなく、事務次官が省内の人事権を持つのでもなく、大臣が省内の監督と人事権を持ち、行使する内容に変える。
各省及び法律で国務大臣をもつてその長に充てることと定められている各庁には、事務次官一人を置く。
2 事務次官は、その機関の長たる大臣を助け、省務又は庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。
3 法律で国務大臣をもつてその長に充てることと定められている庁以外の庁には、特に必要がある場合においては、長官を助け、庁務を整理する職として次長を置くことができるものとし、その設置は、政令でこれを定める。
4 総理府、各省及び各庁には、特に必要がある場合においては、その所掌事務の一部を総括整理する職を置くことができるものとし、その設置及び職務は、法律(法律で国務大臣をもつてその長に充てることと定められている庁以外の庁にあつては、政令)でこれを定める。
本来は大臣が国民の代理人として、担当省庁の各部局及び機関の事務を監督しなければならないのに、第2項で「事務次官が監督する」と規定していることが大問題である。
これは、「国民主権のもとで構成された内閣の大臣が、国民の代理人として行政を制御する」という民主主義の根幹を帳消しにしてしまう規定である。
「事務次官は、行政情報を国民に開示するために省務又は庁務に関係する情報を公開し、各部局及び機関に対して大臣が行なう指揮・監督に必要な情報を大臣および政務次官に報告する。」
国家公務員法第55条第2項の「任命権の委任」条項が、大臣の人事権を奪う規定となっている。
この規定が、省内の人事権を大臣から事務次官に移してしまえる根拠となっている。
国家公務員法
(任命権者)第55条
任命権は、法律に別段の定のある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大 臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに各 外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内 の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関に属 る官職に限られる。但し、外局の長に対する任命権は、各大臣に属する。
2 前項に規定する機関の長たる任命権者は、その任命権を、その部内の上 級の職員に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日 の前に、書面をもつて、これを人事院に提示しなければならない。
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