日本の民主制度は、憲法の予定したとおりには機能していない。その大きな原因に、政治家の能力不足がある。民間の実状を反映し、国全体や国際社会の実状を反映した果断な政策立案能力が政治家には求められている。しかし、大臣の国会答弁を見てもわかるように、官僚的表現による逃げの答弁に終始しているのが実状である。今国会で、自民党と自由党の合意により「政府委員制度」を廃止するとのことである事は、一歩前進である。しかし、最も重要な問題点は、大臣は国会の代表として行政機関を制御するために内閣を構成しているはずなのに、大臣になったとたんに、国会の代表であることや、国会議員であることも忘れてしまい、あたかも自分が役所の官僚になったかのような錯覚を持ってしまっていることである。国民の代表としての国会議員から構成される国会の代表として、内閣を構成して、国民の意志である民意を行政に反映させるという任務を大臣は帯びていることを、全くもって忘れ去ってしまうようである。そこで、政治家である大臣と官僚である事務次官を毎週、民放の番組に各省庁別に1組づつ呼んで、政治評論家やジャーナリストや市民運動グループ代表からの質問に別個に回答させたり、大臣と事務次官の討論をさせる番組をやる事により、政治家と官僚の役割の違いの自覚を促すのである。もし、大臣が質問に答えられなかったり、官僚的な逃げの答弁ばかりを番組でやったのでは、大臣の存在価値がないとの評判がたってしまう。どうしても、大臣は官僚である事務次官とは異なった視点や広い観点からの発言をせざるおえなくなるとともに、事務次官に答弁を代行させることもできなくなる。有能な大臣にとっては、自分のアピールの場にもなるし、国民との密度の濃い対話の場にもなる。
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