BEN FOLDS FIVEスペシャル
Another BRICK on the wall
海外雑誌CMJ 1998 March Issueより訳

はじめに:
アメリカでのBEN FOLDS FIVE人気を決定付けた2ndアルバム『Whatever And Ever Amen』。そのヒットの原因にはシングル"Brick"のラジオ・オンエアーがありました。この雑誌のインタビューでは、BFFの3人によって"Brick"の真実から"BFF結成前夜"、"Ben苦労の下積み時代"にいたるまで詳細に語られています。"Brick"旋風の98年当時に語られたBFFの真実がここに! Specal Thanks: もとちゃん(訳)

「ぶりっくガウタエマスカ?」
「Brick is Cool!」(Spare Reelsより)

It's 6 p.m., the week before Christmas. Smell of Cold, New York is freezing.*1
タイムズスクエアは閉店前ぎりぎりの買い物客であふれている。Ben FoldsはMTV LIVEのサウンドチェックを終えたところだ。

「♪こんな仕事なんてするもんか。こんなところじゃまっぴらだ。」BenはJohnny Paycheck*2の有名なカントリーの'お払い箱'の歌を歌い始める。ベ−スのRobert SledgeとドラムのDarren Jesseeも演奏に加わる。ちょうど4年前、このニュ−ヨ−クでBenはこの歌詞を本当に痛感したのだ。ニュ−ヨ−クで唯一彼が行ったギグはオフブロ−ドウェイミュ−ジカル"THE BUDDY HOLLY"*3だった。彼はノ−スキャロライナに戻ってもう音楽なんて辞めてしまおうと思っていた。今現在、ちょうど今日まで3日間の内にMTV LIVEでプレイするだけでなく、LATE SHOW WITH DAVID LETTERMANに出演したり、'VH-1's CROSSROADS'のインタビュ−を受けたりした。そしてバンドは3週間後に''SATURDAY NIGHT LIVE"に出演する為またマンハッタンへ戻ってくる。

「♪ラジオでBEN FOLDS (の歌声)を聴いたんだ♪」THE COWTING CROWS*4のAdam Duritzが"Monkey"(アルバム『RECOVERING THE SATELLITE』に収録されている)の中でこう歌っている。今やラジオでBFFを聴いたのはもう彼だけではない。BFFの2ndアルバム『WHATEVER AND EVER AMEN』からの静観なバラ−ド"Brick"は1998年最初のクロスオーバ−ヒット*5となった。チャペルヒルにあるBenの自宅でレコ−ディングされ、昨年春にリリ−スされたこのアルバムはゆっくりと、でも着実にヒットしていき、今やプラチナムセ−ルスやグラミ−賞ノミネ−トも夢でないといったかんじだ。BFFにとっての理想は、観客が21歳以下のキッズだけでなく彼らの両親ぐらいの年齢層にも拡大することなのだ。
*1:"Brick"の歌詞をもじってる
*2 Johnny Paycheck:カントリーの大御所?
*3 Buddy Holly:50年代に活躍した眼鏡のロックンローラー
*4 THE COWTING CROWS:ポストR.E.Mとも呼ばれるアメリカンロックバンド
*5:crossover ジャズとロックその他の音楽を混合したもの
BEN FOLDS FIVEの元気なピアノ主導の曲はミュ−ジックエリ−ト(音楽評論家)からの批評の攻撃の的となった。カレッジチャ−トで大きく評価を受けている事に特にこだわらず、彼ら3人とも未だにチャペルヒルに住んでいるのは歌の中でトレンディな、流行を追いかけている人たちをおちょくる理由からだとか、1stアルバムの"Underground"QUEENから影響を受けたようなオペラスタイルで、さえない現代最先端技術を風刺してるとか、最近の"Battle Of Whe Could Care Less"では人生に飽き飽きした怠け者、責任逃れする人たちにむけて拍手喝采をあげているとか....逆にUndergroundと呼ばれる前衛的なメンツからはBilly Joel, Elton John*6っぽいと非難された。''Brick"でそういった批評は過去のものとなった。理想的なクロスオ−バ−ヒットのサウンドだが、若いカップルが孤独になり離れていくことを歌ってるバラ−ドを、シンプルには語れない。実は中絶後のカップルの複雑な感情、ショックについての曲なのである。

この手(シリアスな内容)の曲がラジオでかかるなんて思ってもみなかったよ。

Benはナ−バスな表情で笑っていた。

僕達は別に問題提起をしているわけじゃないよ。会う人たちに『その質問には答えないよ』って言ってるんだけどね...でもね。君の言ってることは正しいよ。

Benは認めた。でも''中絶''とはっきり口にしなかったが...。

これは元々は僕の高校時代に起こった話だよ。実際に起こった事(事実)な訳で、それから感情的な曲が生まれたんだ。すごく政治的な内容と言われるのもわかるよ。(中絶は)生命を傷つけるからね。(曲を作るなら)"生きること"についての曲を世にだすほうがいいんだ。この曲は政治的な面よりもっと何かヒューマンな部分に焦点をおいてるんだ。

僕はストリ−トに出てこの(中絶)問題について問いかける役割をしてないよ。

彼は付け加える。

僕はFiona Apple
*7が好きだし、彼女を非難しようとは思わない。ただ僕は彼女があんなこと(レイプされたこと)を堂々と曲に持ち出したのはすごく子供じみているし、軽率だと思う。それでレコ−ドが売れるし、みんなから崇拝されて...。スポ−クスマンになって自分の言いたいことをみんなが聴いてくれる...それってすごく気持ちがいい事なのは僕にもわかる。でも誰かが説教台に立って話す内容を、実際聞き手はそれほど深刻に考えたりはしないのさ。
*6:Billy Joel、Elton John ご存知二大ピアノマン
*7:Fiona Apple ピアニストでシンガー。デビューアルバム『Tidal』は全米300万枚セールス。99年末にリリースされた『真実』も注目されており、痛々しい歌詞が話題となった。

次に進む
*全3ページです