さー、Paul McCartney



ぼくはまだ伝説にはなりたくないよ
― Paul McCartney ―

「ビートルズのメンバーで誰が好きか?」って聞かれると、ぼくは自信を持って「ポール!」って答えます。ジョンのほうが偉大?それがどうした。たしかにジョンのほうが人間的には偉大だけど、ちょっとまぬけな性格や(完璧主義らしいけど)、幅広い音楽性、ロックンローラーといった側面を含めてぼくはポールが大好きなのです。(ギターが1番うまかったのもポール、シャウトもかっこええ!)

ビートルズ解散後のポールは、常にメディアや聴衆との戦いでした。ことあるごとにジョンと比較され、あることないことタブロイド誌の格好のネタになりつつも、ポールは音楽を作ることで答えを出してきました。その努力の結果が、最高傑作『Band On The Run』となったと言えます。また、最愛のパートナー、リンダ(98年死去)の存在も忘れてはいけません。『Ram』の名曲”The Back Seat Of My Car”での「ぼくたちは間違っていない」という言葉が全てを物語っています。

1980年、ポールに2つの事件が襲いました。1つは、成田空港でのマリファナ所持による逮捕9日間留置。そしてもう1つはジョンの死去です。これらの影響か、ポールのバンドWingsは空中分解し、結果的に「ポール挫折の80年代」の幕開けとなったのです。

偶然か必然的な結果か80年代後半にポールを復活させたのは、新しい作曲上のパートナー、エルヴィス・コステロでした(「さー、Paul と Costello先生のステキな関係」に進む)。そして1989年より13年ぶりのワールドツアーが行われ、そこで数多くのビートルズナンバーが復活しました。「未だにビートルズを引きずっている」という批判の声もあがったけど、他に誰がビートルズナンバーを歌うのが相応しいかを考えると、自然と答えが出てくるはずです。

1998年、最愛の妻リンダを亡くしたポールは、一度はシーンから遠ざかったものの、翌年末の「キャバーン・ミレニアムライブ」でまたまた見事に復活し、「ロックンローラー、ポール」を全世界にアピールすることとなりました。2000年代、まだまだ現役のポールの活躍が楽しみです。近いうちにまた日本に来てください。

オリジナルアルバム おすすめ10曲

McCartney(70)
Ram(71)
Wings Wild Life(71)
Red Rose Speedway(73)
Band On The Run(73)
Venus And Mars(75)
Wings At The Speed Of Sound(76)
Wings Over America(76)
London Town(78)
Back To The Egg(79)
McCartney U(80)
Tug Of War(82)
Pipes Of Peace(83)
Give My Regards To Broad Street(84)
Press To Play(86)
Choba B CCCP(88)
Flowers In The Dirt(89)
Tripping The Live Fantastic(90)
Unplugged (The Official Bootleg)(91)
Off The Ground(93)
Paul Is Live(93)
Flaming Pie(97)
Run Devil Run(99)


The Beatles時代
Can't Buy Me Love
I've Just Seen A Face
I'm Looking Through You
For No One
Got To Get To You Into My Life
Hey Jude
Martha My Dear
Blackbird
Helter Skelter
Golden Slumber〜Carry The Wait〜The End

ソロ時代(Wingsを含む)
The Back Seat Of My Car
(Ram)
Jet
Band On The Run
(Band On The Run)
Wiht A Little Luck
(London Town)
Goodnight Tonight
(McCartney U)
Wanderlust
(Tug Of War)
My Brave Face
You Want Her Too
Put It There
(Flowers In The Dirt)
Beautifl Night
(Flaming Pie)

最新アルバムレビュー
RUN DEVIL RUN(99)

1.Blue Jean Bop
2.She Said Yeah
3.All Shook Up
4.Run Devil Run
5.No Other Baby
6.Lonesome Town
7.Try Not To Cry
8.Movie Magg
9.Brown Eyed Handsome Man
10.What It Is
12.Coquette
13.Honey Hush
14.Shake A Hand
15.Party


オリジナル3曲を含む、ロックンロール初期の隠れた名曲のポール流カバーで進んでいくこのアルバムは、もともとリンダの発案した企画で、98年に死去した最愛の妻、リンダへの愛がロックンロールとなって昇華された作品です。
「ビートルズ初期の熱気を取り戻したかった」というポールの言葉通り、荒削りで気合入ってます。初期のロックンロールのカバーとはいえ、音はまさに90年代の、グルーヴを重視したパンキッシュなギターロックです(ミック・グリーンの鬼包丁ギターがアツい!それに爆発ピアノも!)。
オリジナルの10なんて、まるでウイングス時代の曲みたいで、リンダの声も聞こえてきそうです。


さー、Paul と Costello先生のステキな関係