在日外国人をはじめとする有志が
提出した公開質問状と、
それへの日本消費者連盟からの回答


 

 我々とは別に、独自にamlなどで言及を続けてきた方が、在日外国人他の有志とともに、9月1日、実行委に公開質問状を提出した、というのはみなさんご存知かと思います。

 念のため、ここに質問状の全文を掲載しておきます。

個人情報保護法案をぶっ飛ばせ!二〇〇一人集会実行委員会 御中

宮崎学氏の公安調査庁スパイ事件についての公開質問状

 権力者の「秘密」を探ることを非合法化し、言論・表現の自由と、知る権利を無効化することをたくらむ、「個人情報保護法案」成立阻止を目指す貴実行委員会のご活動に敬意を表します。
 なお、この際一言申し添えますが、私たちは「知る権利」に「国民の」という言葉を無批判に使う向きに対しては、「国民」でないからという理由で、指紋押捺、在留資格への脅迫、公務員、地方参政権からの排除など、多くの人間的尊厳への侮辱を受けてきた在日コリアン及びその闘争の支援者として、この場を借りて注意を喚起させていただきたいと思います。
 さて、貴実行委員会が9月2日に催される 、「個人情報保護法案をぶっ飛ばせ!2001人集会」には、パネルの提起+司会者として、宮崎学氏が参加するとのことです。
 私たちもたいへんな衝撃を受けたことですが、宮崎学氏は、少なくとも1995年から翌年にかけて、公安調査庁に複数回情報を提供していたことが、流出した同庁資料から明らかとなっています。この資料は、文書は写真製版で、録音テープは文字に起こされた形で「公安調査庁スパイ工作集」という本として公刊されましたので、貴実行委員会もご承知のことと拝察します。
 氏は疑惑が浮上すると、自らのホームページで「その日は海外にいた。そもそもスパイぐらい容認しながら行うのが『健全』な運動」とふてぶてしい態度でうそぶいたかと思うと、資料が流出して広がるやいなや一転して、突然自らの周辺のごく少数の人物だけを参議院選出馬の拠点となったロフトプラスワンに集めて「釈明」し、「オウム事件で、『若い衆』を守るために公安と取り引きしようとした。それ以上のことは言えない。墓場まで持っていく。黙秘権を行使する。」
という取り巻きファン達への泣き落としに転じました。これは、運動関係者、市民に言えない内容を秘密として抱えているという自己告白以外の何ものでもありません。それどころか、「自分は清く正しく美しく生きているつもりはない。」と、今後も同様の行為を行う可能性すらほのめかしたのです。
 氏の直近の見解は、「司法官僚が明治維新以降伝統的に持っている民衆に対する徹底した嫌悪感、それと官僚の中に一貫して流れている極めて濃厚な差別意識」を公安調査庁も持っているのに、その意識と対決できなかった、という全くもって的はずれなはぐらかしで終わっています。ここまで来ると「在日朝鮮人の諸運動に対しても、公安調査庁はとんでもない役割を果たしていると僕は思っています。」という言葉も、自らの生き残りのための口先三寸と思わざるを得ません。
 売り渡した情報も、氏が美化しようとしているようなものではなく、真実は多額の金と引き替えに裕福な信者の身の安全の保証に関する仲介をしたもので、内容的には破防法適用請求の準備に協力するものでした。その他にも政治党派の非公然メンバーに自らが提供した隠れ家の情報や、当時氏が営んでいた不動産屋として有していた情報全般にまで渡ることを、この党派との会談(秘密だったが最近公表された)では認めています。まさに、信義も道義もない人物と断じざるを得ません。他にもあるのではないか強く疑われます。
 先日、公安調査庁が、大阪、京都で188人分の外国人登録原票写しを請求し、150人分以上の個人情報を入手していたことが報道で明らかになりました。外国人登録原票には、住民票以上に個人のプライバシーが含まれています。そのプライバシーを不当に入手するために同庁が使った理由は「破壊的団体に関する調査」というものです。
 公安調査庁は、私たち日本住人が納めている税金を自らの飲み食いも含めて湯水のごとく浪費し、市民団体、労働組合、住民運動、環境保護運動、市民オンブズマン、平和運動、民族団体などありとあらゆる社会運動・団体の中に、金と脅迫でスパイを作り上げることを日常的な業務としています。今回の原票入手もそのための「基礎調査」(同庁マニュアル)に他なりません。私たちの中に、同胞と支援者たる友人達を売り渡すスパイを作ろうとしているのです。この原票を使って次に行われるのは、職場や近隣へのこれ見よがしの聞き込み、執拗なつきまと
い、そしてスパイ工作です。
 また、同庁のそもそもの設置目的が、言論・表現の自由、結社の自由を不当に侵害する破壊活動防止法にあることを忘れてはなりません。
 現行憲法は言論・表現の自由を定めた二十一条で、通信の秘密を保障する旨規定しています。個人のプライバシーを公権力から守ることは、言論・表現の自由を守るためのゆるがしにできない担保なのです。
 宮崎氏は選挙出馬についてスパイ発覚の「危機を選挙で乗り切る」と漏らしており、今回の集会会場もそれと同時期に別の課題用に既に氏が確保していたものと聞き及びます。私たちは、氏にとって個人情報保護法案反対集会の中軸となることは、単なる「生き残り」の手段なのではないかと、強く危惧します。自己保身という同一の動機から、一方で運動の中軸を担いながら同時に公安に情報を流すということもあり得るからです。
 貴実行委員会におかれては、同じく言論・表現の自由を担保する「知る権利」を擁護することを目的にされていると拝察いたしますが、同じ言論・表現の自由の担保たる個人のプライバシーを国家の陰謀的機関に秘密裏に売り渡し、その事実を言を左右にしてはぐらかしている宮崎氏をその中心において運動することは、自らを裏切る行為であり、また、私たちを含む他者を裏切る行為と考えますが、どのようなご所存でしょうか。氏は今現在でも公安調査庁と秘密裏のパイプがあるという指摘もあり、また氏が隠したがっている秘密をネタに公安調査庁からさらなる「協力」を求められたとき氏は拒否できない可能性が濃厚ですが、貴実行委の運動に関わる個人・団体の情報を売られる危険性について、貴実行委員会のご責任についてどのようにお考えでしょうか。
 9月2日の集会の後に総括の会議がもたれると聞き及びます。ご回答は、参加団体連名をもっていただけるよう、ここに申し入れます。なお、参加団体各位には、連絡先がわかる限り同一の文書を送らせていただくことを申し添えます。

二〇〇一年九月一日

宮崎学氏の公安調査庁スパイ事件についての公開質問状賛同者一同
(本人及び家族の身体・生命・財産等を守るため、呼びかけ人と賛同者とを区別
しないこととさせていただきました。)

九月一日段階賛同者(賛同者募集中)

(以下、賛同者の個人情報を保護するために略)


 で、この公開質問状は、我々のもの他とは異なり、実行委各参加団体にもきっちり送りつけられてまして、その結果、日本消費者連盟からはちゃんと回答が戻ってきたそうです。

 以下に掲載します。
 当り障りのない表現に終始してはいますが、「今後の私たちの行動を見ていて」など、けっこうそれなりの回答だな、という印象はありますね。

 …はっ、我々も各団体に送ればいいのか!(手を打つ)

2001年9月17日

日本消費者連盟 代表運営委員 富山洋子
連絡先 東京都目黒区目黒本町 1-10-16 電話 03-3711-7766

「9.2個人情報保護法案をぶっ飛ばせ!2001人集会」と
宮崎学さんをめぐる諸間題に対する見解

 個人情報保護法案をぶっ飛ぱせ2001人集会実行委員会宛の公開質問状及び参加団体に宛てた文書を拝受いたしました。
 この文書を寄せてくださった皆様方の危機感は真撃に受け止めておりますが、私どもは以下のような考えで、当集会の実行委員会に参加したことをお伝えいたします。
 今後、宮崎学さんと関連のある集会などにどう関わるかにつきましては、今後の私たちの行動を見ていただけたらと存じております。

1 個人情報保護法案は極めて危険性の高い法案であるにも関わらず、まだ一般への認知度が低く、その問題点が浸透していないのが現状です。そこで、この法案の危険性を広く訴えるためにも、日比谷野音での大規模な集会の成功は必要不可欠と考え、集会実行委員会に参加しました。

2 実行委員会に宮崎学さんが参加されていることは承知していましたが、宮崎さんは「個人情報保護法案拒否!共同アピールの会」として参加していると了解しており、弊連盟と宮崎さんとの関係は、共同アピールの会を通しての関係であると考えています。ですから、共同アピールの会へ宮崎さんが参加されていることに関して当方から何らかの要求をすることは「内政干渉」にもなりかねず、共同アピールの会が宮崎さんの参加に関して何ら対応しない以上、当連盟から云々する問題ではないと判断いたしました。

3 実行委員会の方針や集会の企画・運営については、すべて全体での合議のうえで進められたもので、宮崎学さんを中心に据えたり、宮崎さんの指示などで物事が進められたことは一度もありませんでした。弊連盟としては、実行委員会での決定事項に関して、参加団体としてすべてに責任を持って同意したものであると考えています。

4 実行委員会へ参加される団体・個人の情報が、宮崎学さんを通して公安調査庁に渡される危険性につきましては、各参加団体・個人が責任を持って対処していると理解しております。弊連盟につきましては、当実行委員会に限らず、原則的に会員情報や内部情報を他団体・個人へ知らせることはあり得ず、当実行委員会に対してもそのような情報を知らせたことは一切なく、要求はおろか、必要とされることも一切ございませんでした。もちろん、宮崎学さん個人からそのような要求を受けたこともございません。以上のことから、当集会へ向けた運動の中で弊連盟の情報が他者へ漏れたことは一切ないと考えております。

 

 


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