英文解釈の勉強の手順としては、次の通りです。
最初から自分で訳してはダメです。意味のとり方がわからない状態では、
最初から訳そうとしても無駄です。あと、日本語訳を書き出す必要はありません。
英文和訳については、『中畑のインテグラル英文読解S』(代々木ライブラリー)
などの問題集を用いて「どのように自然な日本語に訳すか」のテクニックを学べばよいのです。
長文問題でも、長文の文脈内容に無関係な熟語問題や下線部訳が出ることがよくあります。
問題にかかわらないようなところまで「日本語で何というべきか」と頭を悩ませても仕方ありません。
英語構文の勉強には、『英語の構文150 New Edition』(美誠社)や
『新版・合格英文150』(ごま書房)などが使えます。『英語の構文150 New Edition』は、
差し当たり例文の英文の意味がとれるようにしておけばいいでしょう。
もう少し長めの文章で演習しておきたい人は、『英文解釈のトレーニング[基礎編]』
(増進会出版社、以下Z会で略)を用いるといいと思います。
これをベースに、長文の読み方に入ります。
環境問題、人口問題、日本論、コミュニケーション論、東洋と西洋、科学論などなど、
英文読解にも、英文を読むための「英文常識」が必要になります。
入試に使われる典型的な英文は、こういう「英文常識」のベースがないと理解できないのです。
『英文読解以前[超入門編][基礎知識充実編]』(研究社)や
『英語で読む1〜3』『多読英語長文』(以上Z会)
『英語長文読解力 出題者が狙うテーマはこれだ!』(文英堂)
といった本が「英文常識」を知るには最適です。
志望校の入試問題の和訳、参考書の和訳も全部繰り返し読みましょう。
特に「英文常識」の分野別に頻出の単語もおさえたければ、
『山口受験英単語講義の実況中継』(語学春秋社)や『リンガメタリカ』(Z会)も活用しましょう。
また、受験英語の勉強のために英字新聞や英語の雑誌を読んでも得点に結びつくものにはなりません。
語学の面からみれば立派な英語の勉強になりますし、趣味や教養としてやるのならいいのですが、
受験のためにやるものではありませんので、入試英語の学習には参考書を使いましょう。
「大学受験の英語」と「語学としての英語」は別物です。
ポイントを押さえた学習さえすれば大学入試で得点できる英語の実力は簡単に伸ばせますので、
要領よくやっていきましょう。
英文は左から右、上から下に読むのが自然ですので、よほど意味をとるのに困るケースでなければ、
そのように読み進めるべきです。そのためには、やはり
東京SIM外語研究所の大学受験用教材がベストです。
SIMの基本は、毎日繰り返し、同じ英文を読み込むことで、
英文を英語の発想のまま頭に入れることです。このことをよく理解しないとSIMはあまり役に立たないので、
この基本を踏まえた上で取り組んで下さい。
また、SIMのSuperELMerはリスニングの勉強に最適なので、大学に入ったらやってみましょう。
長文の読み方の基礎となる参考書としては、
なども使えます。手が出せるならビデオ講座『高橋善昭の英語パワーアップゼミ』
(駿台予備学校通信教育部)も大変役に立ちます。
予備校の英文読解の講習は時間対効率・経済対効率が悪いので、
講習をとるくらいならビデオ講座やスカイパーフェクTV!の代ゼミや東進の講座の録画や再放送を活用すべきです。
問題演習は、まず『マーク式基礎問題集英語[長文内容把握―基礎][長文内容把握―応用]』
(河合出版)などのセンター長文レベルのやさしめの問題集から入り、
国公立大志望なら『英語総合問題のトレーニング[基礎編]』(Z会)、
私立大志望なら『英語総合問題演習[基礎編][中級編]』(駿台文庫)あたりをやるといいでしょう。
あとは志望校に応じて、必要な問題集をこなせば大丈夫です。
だいたい1000語以上の長文となると、長文全体の大域的な論の流れをつかむ必要が出てきます。
そこで、『横山ロジカル・リーディング講義の実況中継』(語学春秋社)
『英語長文読解の王道1』(河合出版)などで英文の内容的な構成がどういうものかを理解します。
一度問題を解いてから読み込んだ方がいいでしょう。
さらに『中澤の難関大攻略・徹底英語長文読解講義』(桐原書店)
『横山ロジカル・リーディング講義の実況中継[問題演習1〜2]』(語学春秋社)
『英語長文読解の王道2〜4』(河合出版)などで演習します。
中澤氏のリーズニングの考えは英語長文読解では大変重要なことです。
特に英語長文や英文法、英作文の勉強法(単語についてはこの本の方法ではなく、
いまからこのページで述べる方法の方がいいでしょう)はこの本や『中澤式・超英語勉強術』
『中澤の合格指南・受験英語の達人Q&A』(ともにエール出版社)を参考に、
「なぜこういう答えを導き出すに至ったか」をノートに書き出すなどして、
きちんと理由づけて答えを出す習慣を身につけましょう。
なお、横山氏は何度も「必ず本文を読んでから設問を解け」と主張していますが、
制限時間内に合格点をとるには必ず設問から読んで下さい。
制限時間なしで完璧に正解を出そうとするなら本文から読むべきでしょうが、
あくまで大学入試の目的は時間内に合格ラインに届くように正解を出すことです。
必ず設問から読みましょう。
語学の学習としてならともかく、大学入試の英語の学習には原則として辞書は必要ありません。
英和辞典には覚える必要のないものも含めて1つの単語につき意味が大量に出ていますし、
受験に必要な意味に限って強調されていなかったりします。
熟語も似たような形のものがあると理解に苦しみます。
また、辞書に印をつけてもまるで復習には使えません。
英語の入試で高得点をあげるには、参考書・問題集の語句欄や単語集・熟語集で出てきた
語彙を徹底してマスターするのがベストです。入試に必要なボキャブラリーはそれで十分身につきます。
最近は電子辞書が比較的手に入りやすくなったり、
インターネット上で使えるオンラインの英和辞典があったりと
辞書を引く手間を省くことはできるようになりましたが、
受験英語に必要な語彙を覚えるにはあまり役に立つものとはいえません。
ただ、和訳を見てもどの日本語が英文の中で対応しているかさっぱりわからなければ
辞書を使わざるを得ません。辞書が必要なのはこのケースくらいでしょう。
繰り返しますが、「大学受験の英語」と「語学としての英語」は別物です。
入試英語で点数を稼ぐには、まずは入試に出る意味から押さえましょう。
自分用の単語帳や単語カードを作るのは時間の無駄です。
まず作業で時間がとられますし、受験勉強のどの時期に、どの英文を読んだ時にその単語が出てきたか、という貴重な記憶の手がかりを単語から分離することにもなってしまいます。
さきほども英文解釈の勉強法で触れましたが、参考書や問題集で
特に覚えたい単語が出てきたらページの余白に黒の水性ペンで書き出せば
参考書や問題集の復習のついでに語彙の確認もできます。
どうしても抜き出して覚えたければ、
B5ノートに1ページにつき2個以内で大きく単語のスペルと意味を書き、
繰り返し眺めるなどすればいいでしょう。
単語・熟語は見て覚えるものです。書いて覚える必要がある単語は限られています。
過去問で「書いて覚えるべき単語」は判断して下さい。
単語集・熟語集は「1日○○語」とノルマを決めてやっても挫折しますし、
復習もろくにできないので覚えられません。絶対にやめましょう。
しっかり覚えるには、まず覚えるための時間を「1日○時間」というようにとった上で、
とにかくどれだけ読み進めていたとしても1ページ目から読み進めます。
音読できるならした方がいいでしょう。
「今日はだいたいこの辺まで覚えられるかな」と思ったところで戻って、
単語が覚えられているかをチェックしていきます。
長文などの学習と並行して、これを繰り返して下さい。
単語・熟語の記憶の補助としてCDやテープを聞くのも悪くないでしょう。
どうしても覚えられない、という人はゴロ合わせやこじつけを使って
無理やり記憶する手もあります。
分解して語源から覚える方法もいいのですが、
試験中にこれで知らない単語の意味を判断するのはやめましょう。
少なくとも大学入試レベルではこのテクニックを使うべきではありません。
単語集としては「基礎単語集」「標準的な単語集」「記憶用単語集」など、
役割別に用意しておきます。まず、「基礎単語集」で、英語長文を読むために必要な
最低レベルの単語・熟語をおさえます。これには、
が使えます。
「標準的な単語集」は、参考書や問題集で知らなかった語句の意味を引いたり、
単語の意味を読んで覚えるために使います。
のいずれかでいいでしょう。
「記憶用単語集」は、単語の記憶の補助にするために使います。
『1日で1323語暗記受験英単語』(大和書房)や『まとめておぼえる暗記受験英単語』(大和書房)
などのゴロ合わせ本も、記憶の補助のために読み込みます。
『速読英単語[1. 必修編][2. 上級編]』『速読英熟語』(Z会)は、
英語長文の問題集と並行して語彙の確認のために使うと効果的でしょう。
英文法には、英文読解のための英文法と英文法問題のための英文法
の2種類があることをまずは理解しましょう。ひとまず、
『フォレスト高校総合英語』(桐原書店)レベルの初歩的な英文法が
だいたいわかっていることを前提に、英文法問題のための英文法の習得について話を進めたいと思います。
まず、『山口英文法講義の実況中継』(語学春秋社)を3回以上読み込み、問題を解いて下さい。
この本が苦しければ、『瀬下英語入門講義の実況中継』(語学春秋社)や
『安河内の英語をはじめからていねいに改訂版』(東進ブックス)あたりから始めてもいいでしょう。
問題集は、『マーク式基礎問題集英語[文法・語法―基礎][文法・語法―応用][語句整序]』(河合出版)
『英文法ファイナル問題集[標準編][難関大学編]』(桐原書店)
と、『早稲田大英語』(河合出版)などの志望校別の問題集を使えば大丈夫です。
純粋な和文英訳の問題の対策には、『大矢英作文講義の実況中継』(語学春秋社)が最適です。
じっくり読み込み、マスターしましょう。予備校の講習を活用するのもいいでしょう。
和文英訳や正誤問題などで必要な語法の整理には『英語語法の征服』(旺文社)を読み込んで下さい。
ただ単に英語を聞き流していたのでは、絶対にリスニングは上達しません。
同じ英文を何度聞いても聴き取れないのに、
毎日ラジオなどで違う英文を訳も分からず聞いていても聴き取れるはずがありません。
ですから、同じ英文を意味がとれるまで聴き取れるようにすることが先決です。
その意味でも、東京SIM外語研究所の教材がベストなのですが、
経済的ないし時間的に余裕がないようであれば、SIMの考案者であるダン上野氏の
『英会話こうすれば速く身につく![初級編][中級編]』(日本実業出版社)や
『速読・速聴英単語Core1800』(Z会)を使います。
最初は英文を見ながらテープやCDを聴いたり、
英文の意味をとりながら音読したりすればいいのですが、英文内容がだいたい理解できたら、
英文を見ずにテープやCDの発音を自分で口で追いかけたり(シャドウイング)、
発音内容を聴き取ったり(ディクテーション)して正確に聴き取れるまで繰り返して下さい。
『速読・速聴英単語Core1800』は単語集の体裁もとっていますが、
大学受験向けに特化している英単語集はここにいくつも挙げていますので、そちらを使い、
この本は大学入試英語対策の中ではリスニングの教材と割り切りましょう。
また、分量も多いので、適当に自分の興味のある文章を選び、間引いて使っても構いません。
『速読英単語』(Z会)を使っている人は、別売りのCDを用いるのも悪くありません。
その上で、問題演習を『大学入試リスニングのトレーニング[入門編][上級編]』(Z会)
や過去問、志望校別問題集などで行いましょう。
客観式の問題には、試験によっても違いますが、必ず選択肢のつくり方に「クセ」が存在します。
これを見抜くことによって、時には純粋に実力だけで問題を解くよりも、あっさりと正解が出せる場合もあります。
こういうテクニックを邪道と捉える人が多いようですが、
大学側が純粋に受験生の実力を見たければ記述式の問題を出せばよいわけですから、
客観式の問題を出すということは、問題を解く際の要領の良さをみている
(もしくは黙認している)ということでしょう。少なくとも私にはそうとしか考えられません。
さらにほとんどの大学や大学入試センターは御丁寧にも過去問を公開し、
大学入試センターに至ってはその正解まで知らせているわけです。
これでは、選択肢のつくり方の手の内を見せてしまっているようなものです。
もしこれが嫌なら、TOEFLのように過去問を一切門外不出にするほかないですし、
せっかくこれだけ貴重な情報が一般に公開されているわけですから、これを活用しない手はありません。
選択肢のつくりに関する分析については、やはり津田秀樹氏の本がすぐれています。
『センター試験丸秘裏ワザ大全英語』『有名私大入試丸秘裏ワザ大全英語』(ともに洋泉社)
の2冊をよく読み、過去問をじっくり研究すると選択肢の「クセ」がかなり見えてきます。
是非しっかりと読み、覚えて役立てましょう。
なお、さきほども言いましたが、選択肢のつくりは試験によって違います。
たとえばセンター試験のテクニックがそのまま国公立2次・私大入試に通用するわけではありませんし、
早稲田大の入試で使えたテクニックが中央大の入試にそのまま使えるわけでもありません。
個々の試験について、過去問を用いた選択肢の研究が必要です。
などをおすすめします。
かつて私が使っていた文法問題集に『徳重の英語ポイント集PART1〜3』(代々木ライブラリー)
がありましたが、既に絶版です。この本がどういうものかを説明するなら、
「『英語頻出問題総演習』(桐原書店)を『本当に入試に使える問題』だけに絞って、
『富田の入試英文法Ver. 1〜3』(代々木ライブラリー)のように分冊したもの」という感じのものです。
実際、『徳重の英語ポイント集』のPART1が『文法・語法・構文問題』でしたし、
PART2が『口語問題』、PART3が『整序・条件英作文問題』でしたから、
形としては『富田の入試英文法』が引き継いでいるわけですが、
この本は解説だらけで問題演習の本としては使えません。
どうも最近の代ゼミ講師(今井氏、仲本氏は少し違うかもしれません)は英文法をすべて「手続き型知識」
として捉えているきらいがあり、私個人としては彼らの参考書や問題集については実行率
(参考書や問題集のとっつきやすさ)、定着率
(実際に参考書をやってみて記憶に残る割合)が気になります。
「手続き型知識」としての英文法の知識は『山口英文法講義の実況中継』
でほとんど尽くされている感があるので、あとは「知っているか、知らないか」
の問題に帰着させた方が効率的だと私は思います。
そこで、現在手に入る参考書の中で、ある程度問題の量
(『徳重の英語ポイント集』は3冊合わせて1000題程度)
を「使えるもの」に絞ってあって、問題形式が実戦的で豊富な問題集として選んだのが
『英文法ファイナル問題集』でした。しかし、私が使っていた当時の
『徳重の英語ポイント集』の有用性にはかなわない本だとは思います。
単語集・熟語集も顔触れが変わりました。『秘伝の英単語』(河合出版)
はいまの『英単語2001』の前身に当たるわけですが、
「発音・アクセントで狙われる単語」「語法問題で狙われる単語」など、
いかにも「人の手で分類された単語集」という印象のあった良書でした。
こういう単語集がなくなり、みな四角四面の「出題頻度別」になってしまったのが残念でなりません。
強いて「人の手で分類された単語集」を挙げるとすれば『山口受験英単語講義の実況中継』ですが、
これも索引がついていないため(「自分で作れ」と山口氏は述べています)、
意味調べに使えないのが難点です。ついでに言えば、『大矢英作文講義の実況中継』についても、
PART1の問題について例文集が付いていれば、とも思います。