受験数学ができるようになるには、「解法パターン」と 「解法の適用方法」をいち早く習得することです。 ゼロから発想して答えを出すような問題は入試には出ません。 教科書の練習問題レベルの初歩的な計算は問題を見て1分経っても まるで歯が立たないようならばさっさと答えを見て、また解き直します。 「解法パターン」の習得のための問題は3分、 入試本番に近い実戦的な問題も5分程度解法の糸口を探っても 解答の見通しが立たないのなら解答と解説を先に読み、 もう一度解き直すことです。これを解答を見ずに問題だけ見て解けるようになるまで繰り返して下さい。 数学の解き方は簡単には身につくものではありません。時間をかけて学習しましょう。
受験数学の初歩的知識は、数研出版の教科書とガイドで身につきます。
例題・問題をさきほど述べた方法で解けるようにします。
しかし、入試問題にこの知識を応用するには教科書だけでは不十分です。
教科書こそが受験数学の初歩であることは間違いないのですが、
これだけで「あとは自分で解答の道筋を見つけろ」といっても大変困難です。
ですから、やはりその応用のしかたを問題集を通じて身につけることが重要です。
そこで、『教科書からの数学』(代々木ライブラリー)を教科書と並行してやり、
次に『河田のやさしい数学』(代々木ライブラリー)もやります。
『河田のやさしい数学』も、3分解答のしかたを模索してもどうにもならなければ、
先に解説を読んでしまいましょう。最終的に、解答を見ずに解けるようになるようにして下さい。
次に、『光速の数学』(語学春秋社)をやります。
並行して、『小林数学I・A・II・B講義の実況中継』(語学春秋社)や
『はじめからていねいにシリーズ』(東進ブックス)、『微分積分[原則編]・軌跡が面白いほどわかる本』
『微分積分[実戦編]が面白いほどわかる本』『確率が面白いほどわかる本』
『受験数学のテクニックが面白いほどわかる本』(以上中経出版)
などの講義型参考書に取り組むのもいいでしょう。
そして、『入試精選問題集』(河合出版)で入試実戦に使うための解法パターンの記憶を完成させます。
青チャート(『チャート式基礎からのシリーズ』(数研出版))
や黄チャート(『チャート式解法と演習シリーズ』『解法と演習BEST』(ともに数研出版))、
『鉄則シリーズ』(旺文社)、『大学への数学1対1対応の演習』(東京出版)、
『ニューアクションシリーズ[α][β]』(東京書籍)などを使う人が多いようですが、
入試数学に対する習得率(得られる理解の深さ)の高さからいえばこちらを推します。
3分で解答の指針が立たなければ、解答・解説をよく読み、問題だけ見て解けるようになるまで
これを繰り返して下さい。
そして、「解法の適用方法」を身につけます。『入試精選問題集』(河合出版)
の復習と過去問の覚え込みと並行して、『秋山数学講義の実況中継』(語学春秋社)を読み込んで下さい。
数学の予備校の講習は時間と金額の割にコストパフォーマンスが悪過ぎますので、
講習をとるくらいなら、ビデオ講座『秋山仁の入試数学徹底攻略』(駿台予備学校通信教育部)
を是非やるべきです。テクニック編だけでも構いません。
その上で、『数学的思考の構造:発見的問題解決ストラテジー』(現代数学社)
もやりましょう。あとは、過去問を覚え込み、さらに志望校別の問題集や、
『文系数学70題[重要・発展題]』(河合出版)『やさしい理系数学50テーマ・150題』(河合出版)
『ハイレベル理系数学50テーマ・150題』(河合出版)『理系数学入試の核心』(Z会)
などの入試実戦に近いレベルの問題集に取り組んで下さい。
数学の講義は、何時間もかけてやる割にはたかだか数題だけの解説だけで終わるので、 役に立つとは言いがたいところがあります。 スカイパーフェクTVの代ゼミや東進の講座を録画したり再放送を見たりして繰り返し見るなどであれば それはそれで定着率が上がるのでよいのですが、やはり数学の学習の基本は自習です。 ただ、東大理系・京大理系については、解法パターンの組み合わせ方が複雑なので、 大学別模試や各予備校から出ているその過去問などで、 どのように記憶している解法パターンを使うか、という一種の 「頭の回転力」の訓練をする必要があります。
などです。
受験数学の勉強法については、以下の本もよく読んで参考にして下さい。
あまりこの言葉は語弊を生みやすいので使いたくないですが
やはり、受験数学に限らず、大学の数学においても「数学は暗記」
としか捉えようのない考え方が広まりつつあります。
数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞の日本人受賞者のひとりである故・小平邦彦博士は、
「学生時代、どうしても数学がわからなかったら、写して考えたらわかった」と言っておられます
(飯高茂(編)『微積分と集合そのまま使える答えの書き方』(講談社サイエンティフィク)。
実際この本もいわば「大学生のための暗記数学」というべき本です)。
実際、小平博士の「受験数学はテクニックがなければ解けない」と語られた話は
福井一成『一発逆転秘裏ワザ勉強法』(エール出版社)にも出ています。
日頃から、数学の「道具」を使い込み、その中でその「道具」の何たるかを考察する。
これが「大学以降の数学の基礎」だと思うわけです。
しかし、その「『道具』の何たるかを考察する」以降の話は受験数学では要求されません。
受験数学には「基礎」「初歩」「応用」という3つの層があるわけですが,
「『道具』の何たるか」の考察は「基礎」に当たるものです。
教科書の練習問題や例題は「初歩」事項です。大学入試の数学の前提知識の集まりです。
「初歩」がわからなければその「応用」もわかるはずがありません。
その前提知識の理論背景に当たるようなものが「基礎」になります。
とりあえず「基礎」がわからなくても、「初歩」事項は納得することはできます。
「初歩」に対して「なぜ」と考え出したら際限がなくなります。
受験数学については、どこかで割り切らなくてはなりません。
また、高校や予備校に「問題がわからなかったら教科書(=「初歩」)に戻れ」という先生もよくいますが、
やはり「応用」事項も「知っているか、知らないか」の問題ですので、
自分でゼロから生み出すものではありません。
「数分解こうとしても無理なら答えを見る。そして答えを見なくても解けるようにする」。
これが受験数学の上達の近道です。
『河田のやさしい数学』は大学に入ってから数学をやり直したい、
という人にもおすすめできます。レベル的にもちょうど入門になりますし、
大学以降の数学につながる参考事項もところどころに入っています。
『光速の数学』も、いわゆる「暗記数学」の原則に則って考えられた本で、
大変よくできていると思います。
秋山仁氏の『発見的教授法による数学シリーズ』(駿台文庫)が手に入らなくなりましたが、
『数学的思考の構造:発見的問題解決ストラテジー』(現代数学社)という良書があります。
著者の塚原成夫氏も昔の秋山氏とかなり近い主張を展開していますし、
こちらの方が問題としては実戦的(一部大学受験の範囲を超えた問題もありますが)
なのでかなり使えるのではないでしょうか。
ただ、書店では参考書売場ではなく数学書のコーナーでないと見つからないかもしれません。
『数学嫌いのための青チャート勉強法』ですが、入手が難しいかもしれません。
しかし、手に入るのであれば読むべきでしょう。
なお、この本にしても和田氏の『数学は暗記だ!』にしても、
青チャートをベースに話を進めていますが実際に使う問題集はこのページで挙げているものにしましょう。