これまで紹介してきたフレーズをつなぎあわせれば、一応「曲」としての形は整います。
調にあったコード進行をしているフレーズならば、たいがいどのような順番で組み合わせてもそれなりに聞けるものです。
ですが、調以外の部分ではどうでしょうか。
確かに調やコード進行はあっていますが、サンプル1とサンプル2が続けて演奏されたらどうでしょう。
今ひとつ噛み合っていないように聞こえますね。
その理由は、どちらも短調の進行としては特殊な部類に入るものだからです。
こういう「聞かせどころ」のフレーズは、前後に「タメ」として単純なフレーズを置くことによって引き立ちます。
アクション映画で最初から最後までカーチェイスだったりマシンガンバトルだったりしたら、どんなに刺激的な映像でもやっぱり退屈ですよね。
サンプル1の前にサンプル3があれば、サンプル1が引き立って聞こえるわけです。
もっと単純な例をあげましょう。
サンプル3とサンプル4はどちらも一般的な短調の進行ですが、聞いてわかるとおりリズムが違います。
当然これは不自然なつながりかたしかしませんね。(注1)
また、サンプル3とサンプル5はリズム、調ともに同じですが、曲のテンポが違います。
これもまた自然なつながりかたはしません。(注2)
サンプル3とサンプル6はリズムも調もテンポも同じです。
ですが、使用している楽器、ひいては表現しようとしている雰囲気が違います。
これではまったく別の曲になってしまいます。(注3)
こういった不自然さをなくし、複数のフレーズをひとつの曲としてまとめる作業が「アレンジ」です。
不自然さをなくし、なおかつ適当な長さにまとめる具体的な方法は、次節以降で説明していきます。
注1……まぁ斬新ではありますが。「組曲」として作曲するのならば問題ないかもしれません。ちょっと違いますが、拍子を途中で変える方法は「その他」の「途中で拍子を変えてみよう」で取り上げる予定です。
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注2……これは、急にテンポが変わるからおかしい、という意味です。ゆったりと変えていくぶんにはごく一般的なアレンジになります。このへんの詳しい説明は「曲の速さを考える」でやります。
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注3……ぼくに言えた義理じゃないなぁ(^^; これもまた注1と同じく、「組曲」としてなら納得できるつながりかたです。
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