さて、ベースの基礎です。
 ベースは基本的にコードのルート音を弾きます。
 つまり、「C」ならド、「Am」ならラということです。
 一番単純な例が図1です(サンプル1)(注1)。
 このように、ベースでルート音を強調することによって、現在どのようなコードが演奏されているのかをアピールすることができます。
 ただコードにあわせて弾いているだけではあまりにも芸がないので、図2のようにシンコペーションを入れるのが普通でしょう(サンプル2)。
 しかしこれでも結局ルート音以外弾いていないため、やはり芸がありません。
 他にサブメロディなどが演奏されていれば単調さは気にならないのですが、ここで紹介しているサンプルのように全体の音数が少ない場合には、ベースに動きが見られないというのは致命的です。
 このような場合、図3のように、ちょっとだけルート以外の音も弾いて変化をつけたほうがいいでしょう(サンプル3)。

 上で紹介したのはあらゆるビートにあてはまる基本ですが、これからはビート別に有効なベースのフレーズを見ていきましょう。

 まずは一番多用される8ビートです。
 上記の3つをそのまま使ってもいいのですが、他にも非常にありがちなフレーズがたくさんあるので紹介しましょう。
 図4は古き良きアメリカン・ロックの基本ベースラインです。
 使用しているスケールは長調の「アメリカ」スケールですね。
 ちょっとけだるい雰囲気がただよっています(サンプル4)。
 ソウルミュージックとかいうジャンルでは、図5のフレーズが使われます。
 常にこのフレーズなのかと訊かれるとちょっと困りますが、おおむねこういったフレーズを使う、ということです。
 またの名を「なるほど・ザ・ワールド」フレーズともいいます(サンプル5)(注2)。

 次に16ビートでのベースラインを紹介しましょう。
 図6サンプル6)のようにえんえんと音を出し続けてもいいのですが、あまり音が連続するとノリが悪くなってしまうため、16ビートでのベースは休符を交えて演奏するのが基本です。
 休符を交えて演奏する際に非常に有効な演奏方法が、前の節で触れた「スラッピング」(チョッパー)です。
 スラッピングベースは音が目立つため、適度に休符を入れた方がきれいに聞こえます。
 ベースが鳴っていない間は他の楽器がカバーしています。
 たとえば図7は、小節の半分以上を休符にしていますが、ドラムが16ビートを刻み続けているので隙間があまり気になりません(サンプル7)。
 休符を入れないスラッピングのフレーズもありますが、そういう場合には大部分をミュートしたまま弾いているので(注3)、結果的には休符と似たような効果が生まれます。
 具体的な例は応用編で紹介しましょう。

 休符を多用するといえば、16ビートのシャッフルは休符が必須です(図8)。
 具体的にはサンプル8のようになりますが、休符を入れる場所は適当に変えてみてもいいでしょう。

 基礎編はこれで終わりです。
 あまり実用的でなかったり、用途が非常に限られるようなフレーズは、次の「ベース応用技」で書く予定です。


この節の注釈

注1……ベースの役割や主なフレーズを書くのがこの節の目的であるため、ドラムやコードのパートは相対的にボリュームを下げています。
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注2……爆風スランプの「よい」でも同じベースを使っていたのですが、より一般的なのはやはり「なるほど・ザ・ワールド」でしょう(^^; すでにない番組ですが;_; あと、すでにおわかりのとおりこの名称はぼくが勝手につけたものです。
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注3……ミュートというのは音を出さずに弾くことです。音がちゃんと鳴らないような状態で音を出そうとするとミュートを表現できます。具体的には、ギターの弦を左手でしっかり押さえずに軽く触れた状態で弾くのがミュートです。
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