では、メロディの基礎編です。
メロディの作り方というのはちょっと教えづらいので、やはりコードからの派生として説明することになりますが、少しくらいはすぐに使える技を紹介してみたいと思います。
メロディで使ってもいい音というのはある程度限られています。
たとえばハ長調で曲を作るのであれば、ハ長調のドレミファソラシドというスケールを基本的に使うことになります。
また、その小節のコードがCであれば、基本的な音はド、ミ、ソの3音になります。
もちろん、「基本的に」その3つの音を使うということですから、ファ#やシbなど調にない音、レやファなどコードにない音を使っても構いません。
ただし、コードについてはあくまで基本の3音が主体ですから、構成音でない音はそのコード範囲内では基本的に全体の50%程度に抑えましょう。
これも「基本的に」ですから、前後のコードとの兼ね合いでやむをえない場合はその限りではありません。
ただ、調のほうは可能な限り厳守してください。
これらのルールからはずれるとせっかく決定した調やコードが活かされず、曲としてなりたたなくなる場合すらあります。
ルールからはずれた音を使う場合はよく注意してください。
また、コードにはルートと呼ばれる基本の音があることはすでに書いたとおりですが、メロディを作る際にこのルートばかりを多用するとメロディの面白味に欠けます。
ノリだけでゴリ押しする音楽ならいいかもしれませんが(注1)、
ちゃんと聴かせる曲を作るのであればルート以外の構成音もちゃんと使いましょう。
では実例を挙げながら説明しましょう。
図1を見てください。
調はハ長調になっています。
コードは楽譜の上に書いてあるとおり、C→F→Gという進行を繰り返しています。
これは「コード編」の「コード基礎の基礎」で紹介したサンプル2と同じものです。
それではこれにメロディを乗せてみます(図2)。
最初の小節のコードはCですから、基本的な音はド、ミ、ソですね。
コードのルートであるドから始めると簡単なので、最初の音はドにしておきましょう。
1小節後にはFというコードが待っています。
Fの構成音はファ、ラ、ドですから、それに近づいていかなければなりません。
Cのコードが1小節分続いているため、音を滑らかに変えていくだけの余裕があります。
そこで、Fの最初で使う音をルートのファに決め、ファに近づいていくことにしましょう。
ここではド→レ→ミ→ファと非常に素直なメロディを作ってみました。
この小節内でCの構成要素ではない音は25%に抑えてあります。
ちょっと話が脇道にそれますが、注釈で書くにはあまりにも重要なことなので、流れを中断して説明させていただきます。
次の最初の音であるファを、この小節の最後で使っていますが、それをタイで結んでいます。
これにより、次のコードの出だしが前の小節に先取りされているような感じを受けます。
これを「シンコペーション」といいます。
シンコペーションはコードが先を急いでいるような感覚を与えるため、ノリのいい曲では大変重要なテクニックとなっています。
ただ、シンコペーションを多用しすぎるとくどくなってしまいますので、「すべてのコードでシンコペーションする」などという暴挙はやめたほうが無難です。
次の小節は前半がF、後半がGとなっています。
つまりそれぞれのコードは4分音符ふたつ分しかないわけで、あまり派手にメロディをいじるわけにはいきません。
まずFのほうですが、先ほどの小節でルートのファに近づけておきましたので、最初の音はファにしておきましょう。
すぐ次にGのコードがありますので、これもルートであるソに近づけることにします。
ここではファ→ミ→ファ→ソといったん降りてまた昇るかたちにしました(注2)。
Fの構成要素以外の音は50%です。
Gの部分ではルートのソから始まるります。
次のCのルートであるドに向かっていってもいいのですが、後半はルート以外の音を最初に持ってくる練習をしましょう。
Cの最初の音をサードのミにすることにして、ソからミに動かすことにします。
ついでですので、構成要素以外の音が50%を超える場合を説明しましょう。
このGのように、非常に短い間だけ使われるコードでは、50%以下のルールを厳守しようとするとできることがほとんどなくなってしまいます。
Gの倍の長さがある次のCがきれいに聞こえればそれでいいのですから、Cにうまくつながることを最優先にしてメロディを作ってみましょう。
ここではソ→ファ→ミ→ファとして、シンコペーションせずに終わらせています。
構成要素以外の音が75%なのですが、それほど気にならないと思います。
次のCはミから始まっています。
Fの部分をフィフスのドから始めることにして、ミ→レ→ミ→ドとしてみましょう。
ミからドの部分がちょっと飛んでいますが、同じコードの構成音なので自然に聞こえるはずです。
Fの部分をド→シ→ド→レ、Gの部分をレ→ド→シとしておきます。
これで、Cの部分は構成要素以外の音が50%、Fで50%、Gで25%となりました。
ではこれを実際に聴いてみましょう(サンプル1)。
どうですか? 一応メロディらしくなっているでしょう。
こういった考え方でいくらでもメロディは作れます。
もちろん、メロディが先に浮かび、それにコードを当てはめる場合もあるでしょう。
そういった場合でも、コードをつけてはメロディを修正し、さらにコードを修正するというように、何度かコードからメロディを生み出すという作業が必要なはずです。
この作業は慣れてくるとほとんど考えずにできるようになります。
だいたい3曲も作れば感覚がつかめてくると思うので、実際に自分で作ってみてください。
注1……筋肉少女帯のデビューアルバム以降、大槻ケンヂが作曲した曲はことごとくそうでした。
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注2……この「降りる」「昇る」は一般的な用語ではないかもしれません。ぼくが個人的に使っているだけかもしれませんから、あまり鵜呑みにしないほうが賢明です。ちなみに、5線譜での音符の昇降のことを言っています。
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