この節では、もう一歩進んだメロディの作り方を紹介します。

 長調ではメジャースケールを、短調ではマイナースケールを、基本的に使用するということはすでに書いたとおりですが、スケールは他にもたくさんあります。

 図1を見てください(サンプル1)。
 一見ハ長調のメジャースケールですが、ファとシが抜けています。
 ドから数えて4番めと7番めがないので、「シナ抜き」と呼ばれます(注1)。
 これは演歌などで使われる、非常に日本的なスケールです。
 これをダンスミュージック調の曲に使ってみると、サンプル2のような感じになります。
 実際にこのスケールを使って曲を書くことはあまりないと思いますが(注2)、「日本」を強調したい場合にはきわめて有効なスケールになります。

 図2のように、短調の「シナ抜き」スケールもあります(サンプル3)。
 このスケールを使うと、たとえどんなにディスコ調だったりメタル調だったりしても、「冬の荒れた日本海」と「港のそばの小さな居酒屋の女将」を表現できてしまうので(注3)、便利なのか不便なのかよくわかりません(サンプル4)。

 図3は長調で、「沖縄」スケールとぼくが呼んでいるものです(サンプル5)。
 見ての通り2番めと6番めが抜けているのですが、7番めの音を使うこともあまりないのでカッコつきで表現しています。
「基礎知識編」の「拍子について」で少しだけ触れたシャッフルのリズムを使うと、あっという間に沖縄風の曲が出来上がります(サンプル6)。

 では今度は国外に目を向けてみましょう。
 図4は長調で、ぼくは「中国」スケールと呼んでいます(サンプル7)。
 3番めの音と7番目の音がありませんね。
 ピアノなどの鍵盤楽器を持っている人は、黒鍵だけで曲を作れば、この「中国」スケールの曲が簡単に作れます。
 「中国」スケールといっても、ただ弾いただけではあまり中国らしくないので、このスケールはできれば中国風の曲のときだけ使ってください(サンプル8)。

 図5をぼくは「インド」スケールと呼んでいます(サンプル9)。
 インドとはいうものの、アラビアあたりのスケールもこれに似ているので(注4)、「アラビア」スケールと呼んでもいいかもしれません。
 このスケールを使うには、あまりコードを動かさないで曲を作るのがコツです(サンプル10)。

 図6のスケールには名称をつけていないのですが、アメリカンロックなどで使われることが多いので仮に「アメリカ」スケールと呼びましょう(サンプル11)。
 2番めの音と6番めの音が抜けているため、単調の「沖縄」スケールということもできそうです。
 あまりメロディアスな使い方のできないスケールですので、やはりロックンロールなどで使うのがいいでしょう(サンプル12)。
 ちなみに長調の「アメリカ」スケールもあるのですが、意外なことに「シナ抜き」と同じものなので、紹介は省きます。

 図7は一見ただのマイナースケールですが、7番目の音がシャープになっています(サンプル13)。
 イングヴェイ・J・マルムスティーンがギターソロで使うことが多いので、「イングヴェイ」スケール、あるいは「スウェーデン」スケールとでも呼んでおきましょう。
 このスケールは大変便利で、遅い曲でも速い曲でも使えます。
 マイナースケールよりも悲しげに聞こえるので、こちらのほうがお薦めかもしれません(サンプル14)。

 スケールの話だけで終わってしまいましたが(注5)、ひょっとしたら「サブメロディ編」あたりで「メロディ編」の補足を書くかもしれません。


この節の注釈

注1……あれ、「ヨナ抜き」だったかな? すみません、ちょっとあやふやです。
戻る

注2……このスケールに限らず、以降のすべてのスケールに当てはまります。スケールというのは使える音を限ってしまうものなので、そのスケールばかりを使った曲はどうしても単調なものになってしまうのです。
戻る

注3……「できてしまう」というのは正確ではありませんね;_; 「そうなってしまう」というのが本当のところです。
戻る

注4……もっと詳しい人の話によれば、「アラビアとインドは明確に違う」そうなのですが、残念ながらぼくにはどこがどう違うのかよくわかりません;_;
戻る

注5……ここに書いたスケールの名称は、ぼくが勝手に名づけたものも含まれています(大半がそうです)。正式な名称を失念してしまったのでこのような紹介になりました。
戻る

[簡易作曲講座] 表紙