最初から変な拍子を使う、ということですが、いくつか実際にある曲を例として挙げながら説明しましょう。
気の早い人はすでにファイナルファンタジー8の体験版をやったかもしれません。
ぼくはそれほど興味がないのでやっていませんが、体験版の戦闘シーンの曲を聴く機会がありました。
全編通して4分の5拍子という構造です。
この4分の5拍子(以下5拍子)というのは「変な拍子」の中では最も一般的な部類で、たとえば「楽曲貯蔵庫」に置いてあるポール・デスモンドの「TAKE FIVE」などその名のとおりですし、ゲームではナムコの(アトラスの、ではなく)女神転生2「聖戦」の前半部分が5拍子です。
一般的といってもせいぜいその程度ですが(^-^;(注1)
5拍子というリズムは内部的に2拍子+3拍子、あるいは3拍子+2拍子に分割されています。
2拍子+3拍子の場合、基本的な構造はサンプル1のようになります。
3拍子+2拍子の場合、通常前半の3拍子部分を4分音符×3ではなく付点4分音符×2にするのでサンプル2のようになります。
もうひとつ変な拍子で一般的なのが4分の4拍子+4分の3拍子、つまり7拍子です。
7拍子の曲というと、ファイナルファンタジー6「妖星乱舞」の一部があります。
プログレッシブロックではU.K.というバンドの「In the Dead of Night」が全編7拍子です。
4拍子と3拍子の繰り返しなので、基本的な構造はサンプル3のようになります。
こういった変な拍子はその気になればいくらでも考えられます。
「楽曲貯蔵庫」にある「Die Schattenseite der Seele」ではAメロ部分に16分の13拍子を使っています。
ですが、いくら変な拍子を使ってもそれを使い続ければ聴く方も慣れてきます。
普通は「途中で拍子を変えてみよう」で紹介した手法と組み合わせて使っています。
実際の曲ではL'Arc〜en〜Ciel「侵食」の後半部分が8分の6拍子と8分の7拍子を混ぜて使っています。
前述の女神転生2「聖戦」も途中で4拍子になりますし、ファイナルファンタジー6「妖星乱舞」も実は8分の8拍子と8分の7拍子の組み合わせです。
SC-88専用データですが、「楽曲貯蔵庫」にある「A reinforced concrete」もいろいろと使っています。
また手前味噌になりますが、「Die Schattenseite der Seele」は16分の13拍子、4分の4拍子、8分の6拍子、4分の3拍子などを使っています。
一番強烈なのはGenesisの「Firth of Fifth」のイントロでしょうか。
音取りするのも面倒なくらい複雑で、残念ながら楽譜も手放してしまったので紹介できませんが、もし興味があるようでしたら「Selling England by the Pound」というアルバムに収録されていますので、ぜひとも聴いてみてください。
注1……そういえばぼくが小学校5年生のときに合奏コンクールで演奏した曲が5拍子でした。思えばぼくのプログレ人生はそこから始まったのかもしれません(笑)
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