「 幸福論 」




 自分は不幸だと思える者が本当の意味で不幸ではないように
 自分は幸福だと思える者は幸福ではない

 物事の目に見える部分だけを見て納得できる人間は幸福である

 幸福は待っていてもなかなか訪れないが
 不幸は待っていなくても唐突に向こうからやってくる

 人の不幸は密の味、とは言うが
 人の幸福をもそのように感じられる人間はそうざらにはいない

 不幸だ不幸だと嘆いていても
 幸福になれるわけでは決してない

 幸福だ幸福だと声高に叫んでいると
 どこからか石が飛んでくる

 幸福と不幸を隔てているものは
 コピー用紙よりは厚いがボール紙よりは薄そうに思える

 たとえ人から見ると不幸であろうと
 当人にとっては幸福であるかもしれない
 逆もまた然り

 自らを不幸と思うか幸福と思うかは
 その人の考え方や感受性にもよる

 幸福は長続きしないが
 不幸は結構長い

 どんなものにさえ幸福を見つけられる人は
 どんなものにも不幸を見つけてしまう人よりも
 おおむね得をしている

 幸福になる条件 楽観論者になること

 真の幸福とは案外身近に転がっているものなのかもしれない
 だからなおさら気づかない




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