宮城ズム!





 とりあえず、俺は大学院生なので、とある研究室に所属している
 そこで俺は実験とか暇つぶしとかを比較的自由にやらせてもらっている
 そこでは俺より偉いやつが何人か存在するのが世の常で
 俺自身は、俺の上にいるやつら(主に教員)を軽蔑している

 第一印象で「こいつら、使えねぇ」と思い、それが正しいことは後々明らかになっていった

 しかし、しかしだ、俺は彼らを、いや、その中の一人、彼を、誤解していた
 その彼、外見はぱっとしない普通(以下)の腹の出たオヤジだ
 当然仕事なんて出来そうにもない
 毎日何しに来てるのか、わからんようなやつだ


 ある日のことだ、後輩のSから彼の言葉を聞かされて、俺は愕然とした
 目から鱗が落ちる、とは、まさにそのことだった

 後輩S曰く、
「宮城○先生、この前、言ってましたよ、

 『バレなきゃ何やってもいいだよ』
って」

 どういったシチュエーションでその話題になったのかは忘れてしまった
 しかし、確実に俺の心はその言葉に惹きつけられた
 ノックアウト、と言い変えてもいい

 ・・・バレなきゃ何やってもいいだよ・・・

 何ということだ!
 何という素晴らしい人なんだ!!
 おそるべし、宮城○敦夫!!!

 俺は彼に敬意を表し
 以後、このような彼の人生観に彼の名を冠して
宮城ズム』と名付けることとした

 その日以来、彼を観る俺の瞳には、『軽蔑』と同時に、
 今までには決して見ることの出来なかった『尊敬』が宿っていた

 敢えて、もう一度言おう

『 バレなきゃ何やってもいいだよ 』

 スゴすぎる
 この言葉が、俺の心をガッチリと捉えて放さない
 たとえ35年後であろうとも、俺はこの一言を忘れることはないだろう、決して
 もはや座右の銘にしたいくらいだ
 俺の中では今年度流行語大賞は決定してしまった

 ありがとう、宮城○先生、ありがとう、宮城ズム・・・



 教訓:人は見かけによらない・・・ってとこかな?  


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