私は、P社のYさんのメールを読んで、心の底から感激した。
『現在はコンテンツ作成のスタッフは募集していません。
が、これも何かの縁です。
一緒に仕事をしているいくつかの会社の中では、 CGやホームページ関連の業務を行っているところがあります。
そこに聞いてみましょう。』
見ず知らずの私に、こんな親切な言葉をかけてくださるとは。
インターネットで就職活動すると、こんなこともあるんだな。
私はすぐさま返事を書き、まずYさんにお会いすることになった。
ついにスタートした、転職活動の第一歩。
業務経歴書と履歴書を手に、 私はバリバリに緊張していた。だが、あらわれたYさんは、とても 気さくで親切な方。
私は安心し、珍しいぐらいたくさん喋った。
どうしてCGをやりたくなったか、会社のどういう点が不満か、 という話から、インターネットの今後の可能性や夢、その他、 とにかくいろいろな話をお互いにした。
途中からは就職活動という感じがしなくなった。
「楽しい」と感じ続けて、あっというまに3時間。
最後になって、Yさんは紹介して下さる会社について、
「Eという会社とGという会社なんです」と教えてくれた。
Eとはまぎれもなく、あの、気になっていたE社であった!
偶然、ではないだろう。
ここは東京ではなく、狭いZ市。 CGやコンテンツを作っている会社も少ないにちがいない。
だがこのとき、私はE社にただならぬ「縁」を感じたのだった。
Yさんの紹介ならば、いきなり応募するよりも有利になるかも しれない、という期待がわいてきた。 あのE社への道が見えてきた。
本当は、P社で求人があったら、ぜひともお願いしたいくらい、Yさんとのお話は 楽しかった。帰り際に他の社員の方々も紹介していただいて、そのとき感じた会社の雰囲気も大学の研究室のようで、よかったのだが…
まずはE社とG社に話を通してもらうことにした。
面接に備え、私は就職雑誌のとらの巻で復習し(もちろんかなり前からそのへんは勉強していた)、新品のスーツを買った。 学校の出力センターで作品を出力して、ファイルに閉じた。
自分のホームページも、就職担当の人に見られてもいいように、 デザインしなおし、変なものは隠した。
数週間後、面接の日が決まった。 G社が先、E社が後であった。
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