イオン(ion)
原子はふつう、原子核にある陽子と、その周りを回る電子の数が同じです。陽子と電子は、同じ大きさで逆向きの電気をもっているので、原子は一つの原子としてはつりあっていて、プラスの電気もマイナスの電気も持っていません。
分子もやはり、普通は電気がつりあった原子が集まってできたもので、一つの分子としては、プラスの電気もマイナスの電気も持っていません。
ところが原子や分子は、他の原子や分子とのあいだで電子をもらったりあげたりすることがあります。電子はマイナスの電気を持っていますから、その原子や分子は、陽子と電子の数がつりあわなくなり、電気を持つことになります。電子をあげてしまえば、プラスの電気を持った陽子の方が数が多くなるので、プラスの電気を持つようになります。ぎゃくに、電子をもらえば、マイナスの電気を持った電子の方が多くなるので、マイナスの電気を持つようになります。こうして電気を持つようになった原子や分子をイオンといいます。
原子や分子が、電子をあげるのかもらうのかというのは、その原子や分子の種類によって違います。もう少しくわしく言うと、原子(分子ではその中の原子)が、電子をどれだけほしいか、あるいはほしくないか、によって決まります。相手が自分よりものすごく電子をほしければ取られてしまいます。ぎゃくに、相手がそれほど電子をほしがっていなければ、もらうことができます。こうして、電子1個がまるまるわたされると、両方とも電気を持つようになるわけです。イオンができるのです。
でも、お互いが同じくらい電子をほしいときや、それほど電子の欲しさに違いがないときには、電子は渡されず、イオンにはなりません。
関連事項:酸化還元反応