多細胞生物の誕生



 核生物が相手の中に入りこんだり、相手を飲みこんだりすることで真核生物が生まれました(→細胞内共生説)。お互いの力を利用し、また、利用されることで、ともに生きることを始めたのです。

 れと同じように、真核生物でも、相手を利用したり、ぎゃくに相手に利用されたりすることで、もっとうまく生きる方法をおぼえたものがいました。かれらは相手の中に入ったり、相手を飲みこんだりはしませんでしたが、お互いにくっつくことでかたまりになりました。このとき、細胞には表面にでているものと、内側にいるものとができます。すると、表面にある細胞はまわりから物質を取り込んだり、はき出したりすることだけをすればよいようになります。また、内側にある細胞は、もっとほかのこと、つまり、さまざまな物質をつくったり、表面の細胞から送られてくる物質を消化したりすることに集中できるようになります。

 たまりになった細胞たちは、さらに内がわにあなをつくり、細胞の外に自分たちだけの部屋をつくるようになりました。そして、そこに必要な物質をため込んだり、別の細胞のかたまりをつくってまた他の働きをさせたりするようになったのです。

 うして、細胞がたくさん集まった生きものは、内がわにどんどん複雑な仕組みを作りだし、大きく、強く、長生きするようになったのです。このように、細胞がいくつも集まって、一つの生きものとなっているものを、たくさんの細胞からできている生きもの、すなわち多細胞生物といいます。