さて、これまでの講座で特にひねったことのしていない曲なら何とか作れるようになったことと思います。
これ以降は、「特に知らなくても困らないが、知っていると得かもしれない」ようなことを書いていきます。
まずその第一弾、「途中で調を変えてみよう」です。
調の概念については、「基礎知識編」の「調について」ですでに触れています。
明るい曲なら長調、暗い曲なら短調、というのが基本でしたね。
しかし、明るい曲だからといって長調一本槍では単調に過ぎるので、Bメロでは短調を使う、などということもすでに「構成・アレンジ編」の「曲の雰囲気を考える」で触れています。
これも「途中で調を変える」ことにはなっているんですが、ハ長調←→イ短調のように、使用する音程はまったく変わっていません。
ここではさらに、使用する音程を完全に変えてしまう調の変更というものを考えてみましょう。
こういった調の変更を、「転調」といいます。
図1を見てください。
なんの変哲もない長調の進行です。
これに適当なメロディをつけて、サビの終了部分をつくってみました(サンプル1)。
なお、サンプルには譜面に載っていない前半部分もつけてあります。
ここでもう1回サビを繰り返すつもりなのですが、もしサビが8回繰り返されるとなると、ちょっと単調さが目立ちます(注1)。
そこで、似たような進行ですがちょっとだけ変化をつけましょう。
ひとつのパターンとしては、全体に半音上げてしまう、という方法があります。
全体に半音上げたものの楽譜が図2です(注2)。
実際に聞いた感じはサンプル2のようになります。
これをサンプル1の後につなげると(図3)、サンプル3のようになります。
当然のことですが、この手法を使った後にも曲を続ける場合、これ以降すべてハ長調ではなく嬰ハ長調(注3)になります。
半音だけ上げた場合には、元に戻すために半音下げる、という手法はあまり使われません。
しかし、半音3つ分上げた場合にはなぜか半音3つ分下げて元に戻す、ということがときどき行われるようです(サンプル4)。
もうひとつの手法としては、本来使われないコードを突然混ぜる、というものです。
実はこの手法はすでに紹介しています。
コード編の「コード応用技」にある、サンプル8がそうです。
これは「ドレミファソラシド」というハ長調のコードに、「ドレミbファソラbシbド」というハ短調のコードをつなげています。
似たような事例に、図4のようなものもあります(サンプル5)。
これもやはり最後の半小節はハ短調のコードであるAb、Bbを使っています。
この手法はときどき混ぜるからこそ効果的なのであって、最初から最後まで違う調のコードを使ったら違う調の曲になるだけです。
さて、転調については以上です。
次回は「途中で拍子を変える」方法、一種の変拍子について説明しましょう(注4)。
注1……その点、SOPHIAの「街」はしつこいけどよく頑張ってます。まぁ飽きるといえば飽きますが。
戻る
注2……楽譜のサイズをすっかり忘れてしまったため、こんな小さな楽譜になってしまいました(^-^; 今後楽譜のサイズは不統一です。
戻る
注3……コードでいう「C#」の調です。参考までに、シャープの場合は「嬰」、フラットの場合は「変」がつきます。
戻る
注4……一種の、というのは、ぼくが変拍子の定義を明確にできていないからです。さらに後で述べる「最初から変な拍子を……」というのも一種の変拍子だと思うのですが。
戻る