遺伝(heredity, inheritance)
子どもの顔や背の高さ、ひとみの色などは、お父さんやお母さんに似ることがよくあります。このようなとき、「顔やひとみの色が、親から子へと遺伝(いでん)した」といいます。遺伝というのは、親の持っている特徴(とくちょう)が、子どもへとうけつがれることです。
遺伝はどうして起こるのでしょう。その理由の一つとして、遺伝子(いでんし)とよばれる物質が、親から子どもへとうけつがれるからだ、という人がいます。それぞれの特徴ごとに遺伝子が親の体の中にあって、子どもが生まれるときに、その遺伝子がわたされるのです。いまではほとんどの人がこの考えを正しいと思っています。遺伝子は、核酸(かくさん)とよばれる物質からできていることが、今では分かっています。お母さんやお父さんは、自分がもっているのとおなじ核酸を作って、生まれる子どもにわたすのです。
でも、遺伝が起こる原因は、核酸という物質だけではないという人もいます。なぜなら核酸だけからは細胞をつくることができないからです。細胞をかたちづくっている膜や小胞体などの器官は、そこに同じ物質をつけくわえることで大きくしたり、切り取って2つに分けたりすることはできます。でも、なにもないところから、核酸と酵素だけで膜や小胞体などをつくることはできないのです。つまり膜や小胞体なども親から子へと受けつがれているのです。