細胞膜(cell membrane)
細胞膜は、リン脂質という物質からできています。リン脂質は、頭にリン酸の分子を持ち、足に2本の長い炭素と水素のひもをもっています。リン酸の分子は、マイナスの電気をおびた電子をあまりほしくありません。一方水分子の中には酸素原子があります。酸素は電子を大変ほしがる原子なので、リン酸の分子にくっつこうとします。こうして、リン脂質の中のリン酸の部分は、水と仲よく電子をもちあって仲よく手をつなぎます。一方で、長い炭素と水素の足は電子をほしくもないし、あげたくもありません。このため、水分子と仲が悪く、自分達だけで身を寄せ合おうとします。
こうしてリン脂質は、リン酸の頭を表面に出し、足をたがいに内側に向けて、2枚の層をつくります。膜の両側にはリン酸の頭がならんで水分子とくっつき、2枚の膜の中では、2本の足が内側を向いてならぶことになります。
細胞膜は2枚の膜の間には電気をおびていない足の部分があります。イオンなどの粒子は電気をおびていますが、足の部分は電気をおびた粒子とは仲が悪いという性質があります。このため、イオンは細胞膜をほとんど通ることができません。また、タンパク質などのあまり大きな分子も、細胞膜を通ることはできません。
核やミトコンドリアを包む膜など、ほとんどの生物の膜はやはり細胞膜と同じような仕組みを持っており、同じような性質を持っています。しかし、細菌の一部などには、ちがう仕組みの膜を持ったものもいます。