動物たちの上陸
〜骨の中に海がある!?〜
動物が陸に上がるためには、体をささえるために丈夫な骨をつくらなければなりませんでした。
私たちの骨は、リン酸カルシウムという物質からできています。というわけで私たちは、骨といえばカルシウムのことを思い出します。リン酸カルシウムでできた骨は硬くて丈夫で、体をささえるのに大切な働きをしています。でも、骨の働きは、体をささえるだけではありません。カルシウムという、私たちが生きていくのになくてはならない大切な物質をためておき、必要なときにとりだすための、貯金箱のような働きもしているのです。
カルシウムは神経組織の中を伝わる信号を最終的に筋肉に伝えるときに必要です。また筋肉細胞が筋繊維を収縮させるための信号としても使われます。さらに、細胞同士をくっつけるタンパク質がはたらくときにもカルシウムが必要です。カルシウムは海水中にたくさん溶けていますが、淡水(川の水)の中にはあまり入っていません。カルシウムは、多すぎても少なすぎても体にとってよくありません。このため、もともと骨は、海水中に余分に入っていたカルシウムを体の中から捨てるためにできた副産物であったともいわれています。でも、リン酸カルシウムでできた硬くて丈夫な骨は、筋肉を動かすときのつっかえ棒としてはたらき、魚がすばやく動くために役立ちました。さらに、もともとは海に住んでいた生きものが、川の水や陸の上で生きていくときに必要なカルシウムを自分のからだの中にためておき、必要なときに溶かして使うためにも大切な働きをしました。
私たちの骨は、私たちにとっての海でもあるのです。