上がるから沈む?沈むから上がる?

マントルの浮き沈みがとぎれなく起こっているなら、キノコ雲のような形にはなりません。同じ太さのつながった流れになるはずです。しかし、温かいマントルや冷たいマントルはプルームというかたまりになって流れています。かたまりは長い時間をかけておおきくなり、ある時ちぎれて動きはじめます。
プルームは、なにがきっかけとなって、動きはじめるのでしょうか?
マントルの上では、地球のまわりをおおうカラがぶつかりあって、沈みこんでいるところがあります。カラはもともとマントルより軽いから上にあるのですが、地表で長い間冷やされると、マントルよりも重くなってしまいます。このため沈みこんだカラはマントルの中にまで入りこんできます。しかし、600キロくらいの深さまでくると、圧力や温度によって、カラよりもまわりのマントルの方が重くなり、それ以上沈みこむことができなくなってしまうことが、超高圧実験からわかっています。。カラもマントルも岩ですが、岩をつくっている物がちがいます。物がちがえば、同じ圧力や温度でも、重さが変わってくるのです。このために、マントルの中にはカラのかたまりがたまっていきます。
冷たいカラがどんどん沈みこんでくると、まわりのマントルが冷えて、下向きの流れをつくります。これにつられてカラのかたまりも下に沈んでいきます。800キロくらいの深さになると、さらに圧力が高くなって、カラがマントルよりも重くなってしまいます。そしていっきにマントルと核の境目まで沈んでいきます。この沈んでいくかたまりが、マントルの底にある熱い部分を浮き上がらせるという考えがあります。つまり、沈むのがきっかけで上がるというわけです。
逆に、マントルの底から上がってくるプルームがきっかけだという説もあります。核はマントルよりも温度が高いので、底にあるマントルをあたためます。マントルは温かいと軽くなるので、ある程度の大きさになると浮かび上がるのです。あるいは、核からマントルに、水素や酸素、炭素などの軽い物質がわたされ、軽くなったマントルがプルームとして浮かび上がるという考えもあります。つまりこちらは、上がるのが先で沈むのはあとだということになります。
しかし実際はどちらが正しいのか、まだよく分かっていません。まず世界中から岩石を集め、プルームの証拠を見つけなければなりません。そして、それぞれのプルームがいつどこで、上がったり、下がったりしたのかを調べなければならないのです。そのためにはもう少し時間が必要です。